T 概況
平成20年度は、米国のサブプライムローン問題に端を発した、百年に一度といわれる金融危機が、世界各国、各地域の経済を巻き込み、一気に深刻な世界不況へと広がりました。このような世界的な金融危機の中、日本経済は特に輸出関連の製造業で、工場閉鎖、生産縮小・調整などを強いられ、今までに経験のない雇用調整を実施し経営危機を凌いでいます。
さて、内閣府の発表では、新制度への移行に関する全国の申請状況は、公益財団への移行認定申請が89件(答申数は13件)、一般財団への移行認可申請が25件(答申数は4件)と公表されました。約24,000団体の移行状況の出だしとしては鈍いように思われますが、移行希望アンケートでは、団体の多くは施行後1年半から2年半後の申請希望が一番多いという結果が出ています。
平成20年度の当財団の活動は、事業目的3分野の各事業を推進してまいりましたが、各事業を進めるにあたり、基本財産運用益だけでは維持できず、賛助会員の皆様のご協力を頂き、各事業の展開を行ってまいりました。
事業内容として、第16回研究助成事業では24件の応募の中から8件(延べ件数:142件)を選考委員会で厳正に選出し、研究助成金を交付いたしました。
次に研究会・セミナー事業では、研究会を委員の方々のご協力を得て合計3回行いました。セミナーにつきましては、9月26日に第12回シンポジウムとして「新水素エネルギー技術(常温核融合・凝集系核科学の進展)」のテーマで開催いたしました。12月12日には恒例のミノル記念講演会で「低炭素社会へのパラダイムシフト」についてご講演を頂き、何れも大変よい評価を得ることが出来ました。
また、調査研究事業では「常温核融合研究の世界の最新動向」について委託調査を実施しました。
以上の結果、一般会計(基本財産の売却・取得額を除く)において平成20年度の収入の部は64,554,875円、支出の部は46,079,599円で差し引き繰越額は18,475,276円となり、収益事業の繰越額642,509円と合わせて、次年度への次期繰越額は、19,117,785円を計上することが出来ました。
平成21年度も同様に厳しい財団運営が予想されますが、賛助会員の皆様方にも喜んで頂ける事業を目指し、社会に一層貢献することを目標として各自業に取り組んでいく所存です。
本年度も引き続きご指導、ご鞭撻、ご協力のほどをお願い申し上げます。
U 総務に関する事項
1.理事会 |
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(1) |
第34回通常理事会
平成20年5月23日(金)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
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1. |
平成19年度事業報告について |
2. |
平成19年度収支報告について |
3. |
評議員の改選(就任1名、辞任1名)について |
4. |
賛助会員1社の退会について |
5. |
研究助成選考委員の異動(就任1名、辞任1名)について |
6. |
助成金交付規定の追加(案)について |
その他 |
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(2) |
第35回通常理事会
平成20年12月12日(金)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
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1. |
評議員の改選(就任2名、辞任1名)について |
2. |
研究助成選考委員の異動(就任3名、辞任1名)について件 |
3. |
平成20年度事業活動の中間報告について |
4. |
平成20年11月27日開催の選考委員会選出による第16回研究助成対象者について |
報告事項:技術研究会委員の異動について |
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(3) |
第36回通常理事会
平成21年3月25日(水)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
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報告事項:役員全員の改選について |
1. |
評議員全員の任期満了による改選について |
2. |
平成21年度事業計画(案)について |
3. |
平成21年度予算(案)について |
4. |
公益法人制度改革に伴う検討会設置について |
5. |
賛助会員1社の入会について |
その他:公益法人会計移行(平成21年4月より)について |
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2.評議員会 |
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(1) |
第33回評議員会
平成20年5月23日(金)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
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1. |
平成19年度事業報告について |
2. |
平成19年度収支報告について |
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報告事項: |
1. |
評議員の改選(就任1名、辞任1名) |
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2. |
賛助会員1社の退会について |
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3. |
研究助成選考委員の異動(就任1名、辞任1名)について |
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4. |
助成金交付規定の追加(案)について |
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その他:新公益法人移行準備について |
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(2) |
第34回評議員会
平成20年12月12日(金)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の項目が承認された。
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報告事項: |
1. |
評議員の改選(就任2名、辞任1名) |
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2. |
究助成テーマ選考委員の異動(就任3名、辞任1名)について |
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3. |
平成20年11月27日開催の選考委員会選出による第16回研究助成テーマ対象者について |
|
4. |
技術研究会委員の異動について |
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|
(3) |
第35回評議員会
平成21年3月25日(水)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
|
報告事項: |
1. |
評議員全員の任期満了による改選について |
|
2. |
賛助会員1社の入会について |
|
1. |
役員全員の任期満了による改選について |
2. |
平成21年度事業計画(案)について |
3. |
平成21年度予算(案)について |
4. |
公益法人制度改革に伴う検討会設置について |
その他:公益法人会計移行(平成21年4月より)について |
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V 事業の実施状況
1.調査及び研究(寄附行為第4条1号関係)
○「常温核融合研究の世界の最新動向調査」を契約
契約の名称 |
契約日 |
契約期間 |
契約先 |
常温核融合研究の世界の最新動向調査 |
平成20年6月23日 |
自:平成20年7月1日 至:平成21年3月31日 |
(株)テクノバ |
□ |
要旨: |
近年、国内外で、固体内における低エネルギー核反応の可能性を示す報告が相次ぎ注目を集めている。これら、いわゆる「常温核融合」は過剰熱だけでなく、核融合の存在を示すヘリウム4を伴う可能性が指摘されており、熱・電気エネルギー技術の観点から見逃せない存在である。
そこで、常温核融合にかかわる最新の世界の研究成果を整理し、将来の熱・電気エネルギー技術の検討に資することを目的に報告書にまとめました。
|
2.セミナー、研究会等の開催(寄附行為第4条3号関係)
熱・電気エネルギー技術に関する研究開発のため、講演会・シンポジウム及び研究会を開催した。
1. |
第12回熱・電気エネルギー技術シンポジウム |
テーマ |
: |
「新水素エネルギー技術(常温核融合・凝集系核科学の進展)」 |
開催日 |
: |
平成20年9月26日(金) |
会場 |
: |
東京国際フォーラムG409 |
後援 |
: |
経済産業省資源エネルギー庁 |
|
演題 |
講演者 |
(1) |
−基調講演− 常温核融合・凝集系核科学の進展 |
大阪大学名誉教授 高橋 亮人 |
(2) |
講演T 核変換・核反応検出実験の最新動向 |
神戸大学大学院 教授 北村 晃 |
(3) |
講演U 三菱重工業における元素変換研究の現状 |
三菱重工業(株) 主席研究員 岩村 康弘 |
(4) |
講演V 岩手大学における凝集系低エネルギー核変換実験 |
岩手大学 工学部 教授 山田 弘 |
(5) |
パネルディスカッション |
1.最新の発熱実験結果の紹介 |
座長:高橋 亮人 |
2.ラマン分光法による固体内核反応の検出 |
東京工業高等専門学校 准教授 土屋 賢一 |
3.薄膜試料における重水素拡散過程での核現象誘起の可能性 |
岩手大学 准教授 成田 晋也 |
4.分散型エネルギー源開発への展望はどうか |
各講演講師 |
参加者 |
有料参加者(1万円) |
33名 |
招待者 |
42名 |
合計 |
75名 |
2. |
第15回ミノル記念講演会 |
テーマ |
: |
低炭素社会へのパラダイムシフト |
開催日 |
: |
平成20年12月12日 |
会場 |
: |
帝国ホテル3階 |
講演者 |
: |
東京工業大学 統合研究院 教授 柏木 孝夫 |
出席者 (招待) |
: |
80名 |
要旨 |
: |
講演では、最近、国際的に大きな課題となっている地球温暖化問題に対し、その国際的動向を踏まえ、低炭素社会の実現に向けたこれからのエネルギーシステム、エネルギー政策など幅広い見地から今後の動向を展望するという内容で、大変興味深い講演会となりました。 |
|
3. |
第41回技術研究会 |
テーマ |
: |
荒田名誉教授の固体内核融合公開実験と発熱・Heデータの説明 |
講師 |
: |
大阪大学名誉教授 高橋 亮人 |
開催日 |
: |
平成20年7月31日(木) |
会場 |
: |
(株)テクノバ 会議室 |
出席者 |
: |
委員 |
池上 英雄 |
太田 健一郎 |
小山 昇 |
|
梶川 武信 |
笠木 治郎太 |
國松 敬二 |
|
松井 賢一 |
|
|
オブザーバー |
水野 清史 |
安藤 正夫 |
満田 辰美 |
|
吉田 元治 |
藤田 祐志 |
瀬戸 礼子 |
|
安原 律子 |
|
|
|
要旨 |
: |
- 前半は荒田名誉教授が5月22日に大阪大学内で行なった公開実験について、発表されている発熱やHeに関するデータに基づき説明された。
- 後半は、ビデオ撮影の映像を見ながら公開実験の様子やその場の様子を含めて説明された。
|
|
4. |
第42回技術研究会 |
テーマ |
: |
1.遷移金属酸化物系の科学 2.量子ネルンスト効果の理論と実験 |
講師 |
: |
1.筑波大学大学院 准教授 小野田 雅重 2.東京大学 生産技術研究所 准教授 羽田野 直道
|
開催日 |
: |
平成20年10月28日(火) |
会場 |
: |
(株)テクノバ 会議室 |
出席者 |
: |
委員 |
赤井 誠 |
池上 英雄 |
小山 昇 |
|
笠木 治郎太 |
柏木 孝夫 |
梶川 武信 |
オブザーバー |
小林 雅史 |
井田 和彦 |
安原 律子 |
|
要旨 |
: |
- バナジウム酸化物系、コバルト酸化物系、V酸化物イオンバッテリー系などから機能性複合結晶まで現在行なわれている研究を説明された。
- 量子ネルンスト効果の説明から理論拡張、2次元および3次元実験、研究の意義や今後の計画などについて説明された。
|
|
|
5. |
第43回技術研究会 |
テーマ |
: |
リチウム二次電池の進歩−高エネルギー密度化と安全対策のための材料開発− |
講師 |
: |
東京農工大学大学院
教授 小山 昇
|
開催日 |
: |
平成21年2月26日(木) |
会場 |
: |
(株)テクノバ 会議室 |
出席者 |
: |
委員 |
柏木 孝夫 |
梶川 武信 |
國松 敬二 |
|
高橋 亮人 |
松井 一秋 |
松井 賢一 |
オブザーバー |
本多 孝康 |
吉田 元治 |
井田 和彦 |
|
安原 律子 |
|
|
|
要旨 |
: |
- 講演は資料に基づき、1.リチウム二次電池の概要、周辺動向、2.電池性能パラメータ、寿命や安全性について、3.新規材料開発として高エネルギー密度化、安全性改善など重要な課題について説明された。
- 最後に、日米欧の燃費規制への対応や材料開発、リチウム二次電池の技術開発課題などについて説明がなされた。
|
|
3.研究助成(寄附行為第4条4号関係)
- 第16回研究助成の実施
4.普及・啓発(寄附行為第4条5号関係)
- セミナー・研究会などの講演集・講演録を作製・配布する。
No |
名称 |
開催日 |
部数 |
1. |
第12回熱・電気エネルギー技術シンポジウム講演集 |
平成20年9月26日 |
150 |
2. |
第41回技術研究会講演録 |
平成20年10月28日 |
60 |
3. |
第15回ミノル記念講演会講演録 |
平成20年12月12日 |
200 |
4. |
第42回技術研究会講演録 |
平成21年2月26日 |
60 |
5. |
財団会報誌第17号 |
平成21年3月配布 |
400 |
※ |
新財団案内 |
平成21年7月配布 |
300 |
W 参考資料
1.役員名簿
平成21年3月31日現在
役職名 |
氏 名 |
所 属 |
理事長 |
森 治男 |
アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 特別顧問 |
専務理事 |
安原 律子 |
財団法人 熱・電気エネルギー技術財団 専務理事 ※ |
理事 |
渥美 和彦 |
東京大学名誉教授 |
理事 |
石井 威望 |
東京大学名誉教授 |
理事 |
齋藤 治彦 |
株式会社アドヴィックス 取締役社長 ※4/1より就任 |
理事 |
鈴木 泰寛 |
アイシン開発株式会社 取締役社長 |
理事 |
高瀬 保 |
東京都参与、京都産業大学名誉教授 |
理事 |
田中 資康 |
アイシン精機株式会社 相談役 |
理事 |
谷口 孝男 |
アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 顧問・技監 |
理事 |
宮川 公男 |
財団法人 統計研究会 理事長 |
理事 |
吉田 元治 |
株式会社テクノバ 取締役社長 |
理事 |
渡辺 尚生 |
東京ガス株式会社 常務執行役員 技術開発本部長 |
監事 |
海老原 薫 |
海老原会計事務所 税理士 |
監事 |
小塚 埜武壽 |
御苑会計事務所 公認会計士 |
理事:50音順
※ 常勤1名
2.評議員名簿
平成21年3月31日現在
氏 名 |
所 属 |
秋元 勇巳 |
三菱マテリアル株式会社 名誉顧問 |
池上 英雄 |
名古屋大学名誉教授 |
石川 敏行 |
アイシン高丘株式会社 取締役社長 |
笠木 伸英 |
東京大学大学院 教授 |
柏木 孝夫 |
東京工業大学統合研究院 教授 |
梶川 武信 |
湘南工科大学名誉教授 |
茅 陽一 |
財団法人 地球環境産業技術研究機構 副理事長・研究所長 |
柴田 康秀 |
アイシン化工株式会社 取締役社長 |
杉浦 精一 |
財団法人 日本自動車研究所 専務理事 |
角谷 孝二 |
アイシン機工株式会社 取締役副社長 |
高橋 亮人 |
大阪大学名誉教授 |
田中 公紀 |
エヌ・ティ・ティソフトウェア株式会社 取締役 |
谷口 富裕 |
国際原子力機関 事務次長 |
松井 賢一 |
龍谷大学名誉教授 |
水野 清史 |
アイシン精機株式会社 顧問 |
武藤 昭一 |
東京電力株式会社 開発計画部長 |
50音順
3.賛助会員名簿
平成21年3月31日現在
アイシン精機株式会社 |
アイシン高丘株式会社 |
アイシン化工株式会社 |
アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 |
アイシン軽金属株式会社 |
アイシン開発株式会社 |
アイシン機工株式会社 |
アイシン・エーアイ株式会社 |
アイシン辰栄株式会社 |
アイシン・エィ・ダブリュ工業株式会社 |
豊生ブレーキ工業株式会社 |
株式会社テクノバ |
株式会社アドヴィックス ※4/1より入会 |
以上12社 |
4.研究助成選考委員会名簿
平成21年3月31日現在
氏 名 |
所 属 |
委員長 梶川 武信 |
湘南工科大学名誉教授 |
池上 英雄 |
名古屋大学名誉教授 |
太田 健一郎 |
横浜国立大学大学院工学研究院 教授 |
小山 昇 |
東京農工大学大学院 教授 |
笠木 治郎太 |
東北大学大学院理学研究科 教授 |
高橋 亮人 |
大阪大学名誉教授 |
吉田 元治 |
株式会社テクノバ 取締役社長 |
吉野 淳二 |
東京工業大学大学院 教授 |
※委員長は互選(任期2年)
5.技術研究会名簿
平成21年3月31日現在
氏 名 |
所 属 |
委員長 梶川 武信 |
湘南工科大学名誉教授 |
赤井 誠 |
独立行政法人産業技術総合研究所 分散システムグループ長 |
池上 英雄 |
名古屋大学名誉教授 |
太田 健一郎 |
横浜国立大学大学院工学研究院 教授 |
小山 昇 |
東京農工大学大学院 教授 |
笠木 治郎太 |
東北大学大学院理学研究科 教授 |
柏木 孝夫 |
東京工業大学統合研究院 教授 |
國松 敬二 |
山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター 客員教授 |
高橋 亮人 |
大阪大学名誉教授 |
松井 賢一 |
龍谷大学名誉教授 |
松井 一秋 |
財団法人エネルギー総合工学研究所 理事 |
|