平成17年度

事業報告書

平成17年4月〜平成18年3月

T 概況

 平成17年度の日本経済は、全体として回復軌道に乗り、企業収益も改善しているが、中央と地方の格差の拡大など、これまで以上に明暗が顕著になっております。
 一方、世界の動きではハリケーンの直撃等による製油能力の一時的な減退やイラクに加えイランの核査察問題など不安定な中東情勢による石油産業の復興の遅れが、未だ原油価格の高騰を招いております。このような情勢の中、省エネルギーの推進、代替エネルギーの開発努力が国内外の課題となっております。

 また、注目の公益法人改革では、3月10日に法案が国会へ提出され、4月3日から本格審議が始まりました。可決されれば、2年後の2008年に新法が施行されます。

 平成17年度の当財団の活動は、事業目的であります3分野の各事業を推進してまいりました。各事業を進めるにあたり、財団の基本財産運用益だけでは維持できず、平成17年度も賛助会員の皆様方のご協力を頂き、各事業の展開を行ってまいりました。

 事業内容として、第13回研究助成事業では、31件の応募の中から9件(延べ件数:117件)を選考委員会で厳正に選出し、各テーマに対して研究助成金の目録贈呈式を執り行いました。
 次に研究会・セミナー事業では、研究会を委員の方々のご協力を得て合計3回行いました。セミナーについては、「第12回凝集系核科学国際学会ICCF12」に協賛し、11月27日から12月2日まで横浜で開催されました。12月16日には恒例のミノル記念講演会で「宇宙輸送の次のゴール」についてご講演を頂き、何れも大変よい評価を得ることができました。
 また、調査研究事業では「凝集系核科学研究の動向調査」について委託調査を実施しました。

 以上の結果、一般会計(基本財産の売却・取得額を除く)において、平成17年度の収入の部は52,557,974円、支出の部は、44,711,301円で、差引き繰越額は、7,846,673円となり、加えて収益事業の繰越額852,509円と合わせて、次年度への次期繰越額は、8,699,182円を計上することができました。

 平成18年度も同様に厳しい財団運営が予想されますが、賛助会員の皆様方にも喜んで頂ける事業を目指し、社会に一層貢献することを目標としてに各事業に取り組んでいく所存です。

 本年度も、引き続きご協力・ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。



U 総務に関する事項

1.理事会

 (1)第26回通常理事会
  平成17年12月16日(金)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
 1. 平成17年度事業活動の中間報告について
 2. 平成17年11月24日開催の選考委員会選出による第13回研究助成テーマ対象者について
 (2)第27回通常理事会
 平成18年3月27日(月)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
 報告事項: 役員の改選(就任3名、辞任3名)について
 1. 評議員の改選(就任2名、辞任2名)について
 2. 平成18年度事業計画(案)について
 3. 平成18年度予算(案)について
 4. 理事長互選について
 その他: 「一般社団法人および一般財団法人に関する法律案の概要」他
 (3)第28回通常理事会
 平成18年5月24日(水)、(株)テクノバ会議室において開催
 1. 平成17年度事業報告について承認を求める件
 2. 平成17年度予算収支報告について承認を求める件

2. 評議員会

 (1)第25回評議員会
  平成17年12月16日(金)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の事項が承認された。
 1. 平成17年度事業活動の中間報告について
 2. 平成17年11月24日開催の選考委員会選出による第13回研究助成テーマ対象者について
 (2)第26回評議員会
  平成18年3月27日(月)、(株)テクノバ会議室において開催され、次の項目が承認された。
 報告事項: 評議員の改選(就任2名、辞任2名)について
 1. 役員の改選(就任3名、辞任3名)について
 2. 平成18年度事業計画(案)について
 3. 平成18年度予算(案)について
 その他: 「一般社団法人および一般財団法人に関する法律案の概要」他
 (3)第27回評議員会
  平成18年5月24日(水)、(株)テクノバ会議室において開催
 1. 平成17年度事業報告について承認を求める件
 2. 平成17年度予算収支報告について承認を求める件

3. 理事の移動

就任 辞任 異動年月日
鈴木 泰寛 平成18年3月27日
田中 資康 平成18年3月27日
谷口 孝男 平成18年3月27日
相木 茂男 平成18年3月27日
伊藤 清 平成18年3月27日
諸戸 脩三 平成18年3月27日

4. 評議員の異動

就任 辞任 異動年月日
石川 敏行 平成18年3月27日
角谷 孝二 平成18年3月27日
加藤 喜久雄 平成18年3月27日
谷口 孝男 平成18年3月27日

5. 技術研究会委員の異動

就任 辞任 異動年月日
伊原 征治郎 平成18年3月31日

V 事業の実施状況

1.調査及び研究(寄附行為第4条1号関係)

 ○「凝集系核科学研究の動向調査」を契約
契約の名称 契約日 契約期間 契約先
凝集系核科学研究の動向調査 平成17年6月30日 自:平成17年7月1日
至:平成18年3月31日
(株)テクノバ
 □ 要旨: 近年、固体内における低エネルギー核反応の可能性を示す報告が相次ぎ、注目を集めている。これら、「凝集系核反応現象」は過剰熱の発生を伴う可能性があり、熱・電気エネルギー技術の観点から見逃せない存在である。そこで、凝集系核反応現象にかかわる最新の研究成果を整理し、将来の熱・電気エネルギー技術の検討に資することを目的に調査分析して、報告書にまとめた。

2.セミナー、研究会等の開催(寄附行為第4条3号関係)

 熱・電気エネルギー技術に関する研究開発のため、講演会・シンポジウム及び研究会を開催した。
 1.
シンポジウム 協賛
会議名 第12回凝集系核科学国際学会ICCF12
主催 凝集系核科学国際学会(ISCMNS)
協賛団体 日本CF研究会(JCF)
財団法人 熱・電気エネルギー技術財団(TEET)
開催日 平成17年11月27日〜12月2日
会場 新横浜プリンスホテル
要旨
  • 当財団の事業目的である新水素エネルギー技術分野において、常温核融合を含む凝集系核科学の近年の研究成果は、金属重水素系環境でのクリーンな核融合発生と核変換というエネルギー科学・技術にとって、根源的に重要な結論に至りつつある。
    このような状況の下で、第12回凝集系核科学国際学会ICCF12が日本の横浜で開催されることになった。
  • この会議の主後援団体は、1990年以来の常温核融合を含む凝集系核科学研究(CF研究)の継続と発展のため、平成17年3月にイギリスに本部を置く凝集系国際学会として発足された国際学会である。また、現地組織委員会は、高橋亮人議長(大阪大名誉教授、本財団評議員)、太田健一郎共同議長(横浜国大、本財団研究助成審査委員)、岩村康弘氏(三菱重工、本財団研究助成受賞者)のもとに、協賛団体として、当財団と日本CF研究会が加わって、会議の準備と当日の運営にあたった。
  • 会議では、83件の研究発表(口頭発表32件、ポスター51件)があった。おもな発表は、クリーンな熱発生では、イスラエル+アメリカ+イタリアの三国共同チームからのSuper-Wave電解実験、阪大荒田名誉教授の二重Pdカソード重水素ガス充填実験が注目された。また、核変換関連では、三菱重工の岩村氏らの核変換実験に注目が集まった。理論モデル研究においても、日本と米国からの発表に進展が見られた。そのほかにも、過剰熱発生実験が多く発表された。さらに、凝集系核反応の核物理的基礎実験も数件発表された。
  • 今回のICCF12では、国内外の多くの研究者が講師として参加されるなか、特に当財団の重要な事業でもある研究助成の助成対象者も多数講師として参加されていた。日本からの研究発表は、三菱重工岩村氏らの核変換の発表、岩手大の山田教授と成田助手による核変換の発表、北大水野助手によるプラズマ電解実験の発表、神戸大北村教授らによる核変換の実験発表など、日本からの貢献が会議の重要成果として注目された。これらの発表は、当財団の研究助成を授賞した方々によってなされたのである。
  • 今回のICCF12参加者は、総数110名で、米国22名、ロシア10名、イタリア6名、イスラエル6名、韓国5名のほか、フランス、中国などからの参加があり、外国からの参加者は総計54名であった。日本からはほぼ同数の参加者があった。過去のICCF会議に比べて、参加者数はやや小ぶりであったが、学問的なレベルの高い、また討論密度の濃い会議であったとの評価の声が、多くの外国からの参加者から、現地組織委員会関係者に寄せられた。
  • 各助成対象者のその後の研究成果や、また外国の研究者への当財団の周知等、今回の協賛の目的が達せられた。

 2.
第12回ミノル記念講演会
テーマ 宇宙輸送の次のゴール
開催日 平成17年12月16日
会場 帝国ホテル2階
講演者 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部
教授 稲谷 芳文
出席者(招待) 100名
要旨
  • 今のロケットでは1キログラムのものを宇宙に運ぶのに大体100万円かかる。ロケット1台を100億円で作って荷物は10トン、それを運んで1回で捨てるというやり方である。1kgのものを1万円のオーダーで打ち上げられるものを作れば、宇宙旅行に始まり、太陽発電衛星、Space mining、Satellite servicesなども現実になってくるといわれている。
  • これらを実現するために必要なことは、ひとつは輸送技術の進歩である。これにはあるボリュームで技術開発のための研究投資が必要であり、これが成熟しなければ未来はやってこない。その結果として、需要を成熟させて盛り上げることが必要である。
  • 日本では、有人飛行などを総理大臣がトップダウンで言えるような状況ではないので、例えば、ベンチャーや民間に先行させることもいいだろうと思う。そのための法整備が必要である。また、、安全性の意味で故障しても大丈夫な仕掛けを作るために、飛行機や他の安全を意識した技術との融合が必要である。
  • 最後に、冷戦が終わった現在は、かつてアポロに投資されたように、宇宙が技術を引っ張るほどには投資されていない。車や水素など技術の進んだ分野と連携して、お互いに切磋琢磨し、あるいは刺激しあいながらやっていければ一番いいのではないかと結ばれた。

 3.
第32回技術研究会
テーマ バイオマスエネルギー技術について
講師 (財)エネルギー総合工学研究所 エネルギー技術情報センター
センター長 小川 紀一郎
開催日 平成17年7月28日(木)
会場 (株)テクノバ 会議室
出席者
委員長 秋山 守
委員 伊原 征治郎 梶川 武信
オブザーバー 安原 律子 赤司 達 吉田 元治
藤田 祐志 石橋 冽
要旨
  • バイオマスエネルギーについて以下の6項目を中心に説明された。
    1.バイオマスエネルギーとは、2.バイオマスへの取り組み、3.バイオマスの賦存量および利用動向、4.バイオマス利用技術、5.バイオマス利用の実施例、6.バイオマス利用拡大のために
  • 最後に私案として、バイオマスエネルギーの取り組みに関する課題と対応策が説明された。課題として収集から流れるシステムになっていないことや、特に森林バイオマスや畜産廃棄物が流れていないのではないかということ。それから経済性、さらに技術面の課題では、地域共同体の体制整備、政策制度と規制緩和、技術開発および経済性向上バイオマスデータベース構築と共有化があげられると説明があった。

 4.
第33回技術研究会
テーマ 国際エネルギーレジーム
講師 龍谷大学国際文化学部 教授 松井 賢一
開催日 平成17年9月13日(火)
会場 (株)テクノバ 会議室
出席者
委員長 秋山 守
委員 赤井 誠 池上 英雄 伊原 征治郎
梶川 武信 柏木 孝夫
オブザーバー 安原 律子 赤司 達 藤田 祐志
篠原 博幸
要旨
  • エネルギー・地球温暖化問題は、多くのまた大きな不確定要因を抱えているにもかかわらず、なぜその時々に支配的な見方が存在し、またその考え方を多くの人が受け入れたのかという問題提議から、国際レジームの存在について説明された。
  • 国際レジームは、原理、規範、ルール、手続きの4つの要素から成立する。重要なのは原理と規範であり、この4つがきちんとしていないものはソフトレジーム、4つがきちんと決まっているものはハードなレジームと名づけられている。
  • 何故、エネルギー・地球温暖化問題の分野で国際レジームができるのかについて、第一にこれらは人類全体あるいは自然環境全体にかかわるグローバルな問題であること、第二に政治・軍事との非常に強い関連があること、第三に不確実な点が非常に多いことなどを挙げて説明された。

 5.
第34回技術研究会
テーマ パラジウム多層膜状での重水素透過による元素変換について
講師 三菱重工業株式会社先端技術研究センター
主席研究員 岩村 康弘
開催日 平成18年2月17日(金)
会場 (株)テクノバ 会議室
出席者
委員長 秋山 守
委員 伊原 征治郎 太田 健一郎 小山 昇
柏木 孝夫 國松 敬二
オブザーバー 安原 律子 藤田 祐志 篠原 博幸
要旨
  • 主に最近中心を置いている重水素透過による元素変換について、Spring-8を使った分布計測を中心に説明があった。
  • 結果として、CaOとパラジウムの混合層を有するパラジウムの多層膜に重水を透過させる方法で、セシウムからプラセオジム、ストロンチウムからモリブデン、バリウムからサマリウムへの元素変換と思われる現象を観測した。
  • さらにマイクロX線で分布を見ると、思っていた以上に局所的に存在しており、また他の研究室の実験では、重水素の密度が一桁近く高いのではないかという結果も出ており、もう少しメカニズムを解明したいと説明された。


3.研究助成(寄附行為第4条4号)

  1. 第13回研究助成の実施
    • 公募期間:平成17年9月1日〜10月31日
    • 募集テーマ内容:
      1. 新水素エネルギー技術(常温核融合を含む凝集系核科学)
      2. 熱電変換素子技術
      3. 中・低温度差発電技術
    • 応募件数:31件
    • 研究期間:平成17年12月〜平成18年11月
    • 平成17年度選考委員会の開催(11月24日)
      委員長: 高橋 亮人 大阪大学名誉教授
      委員: 赤司 達 (株)テクノバ 取締役社長
      秋山 守 (財)エネルギー総合工学研究所 理事長
      池上 英雄 名古屋大学名誉教授
      太田 健一郎 横浜国立大学大学院 教授
      梶川 武信 横浜国立大学大学院 教授
      柳田 博明 東京大学名誉教授
    • 助成対象者:9名(助成金総額890万円/予算1,000万円)の選出

      △ 平成17年度研究助成対象者
        対象者(推薦者) 所属機関 研究テーマ
      1 岩崎 航太
      (澤木宣彦 名古屋大学大学院工学研究科長)
      名古屋大学大学院 工学研究科 助手 金属一酸素間結合の制御による熱電変換酸化物材料の高性能化
      2 岩村 康弘 三菱重工業株式会社先進技術研究センター 主席研究員 重水素透過によるパラジウム多層膜核変換の反応率増大
      3 岸本 堅剛
      (三木俊克 山口大学工学部長)
      山口大学工学部 電気電子工学科 助手 高性能熱電変換材料としての充填4配位結合半導体の可能性―その合成およびラトリング効果の検討―
      4 佐藤 義久
      (澤岡昭 大同工業大学学長)
      大同工業大学電気電子工学科 教授 形状記憶合金を用いた未利用熱エネルギー発電システムの開発
      5 鈴木 亮輔
      (吉川榮和 京都大学大学院エネルギー科学研究科長)
      京都大学大学院 エネルギー科学研究科 助教授 熱流体を用いた二重類螺旋多段式熱電発電システム
      6 中山 将伸
      (脇原将孝 東京工業大学教授)
      東京工業大学大学院 理工学研究科 助手 カルコゲナイドCoxNbS2の金属/絶縁体転移近傍における熱電特性と電子構造制御
      7 成田 晋也 岩手大学工学部 電気電子工学科 助手 金属薄膜電極を用いた重水素気中放電における低エネルギー核変換反応の研究
      8 福田 功一郎
      (松井信行 名古屋工業大学学長)
      名古屋工業大学大学院 助教授 高性能n型炭化物熱電変換材料の創製―新規な層状ホモロガス相の探索と粒子配向による高効率化―
      9 堀井 滋
      (岸尾光二 東京大学大学院工学研究科教授)
      東京大学大学院 工学系研究科応用化学専攻 助手 配向積層制御による酸化物熱電変換素子の高集積化


    4. 普及・啓発(寄附行為第4条5号関係)

    • セミナー・研究会などの講演集・講演録を作製・配布する。
    No 名称 開催日 部数
    1 第32回技術研究会講演録 平成17年7月28日 60
    2 第33回技術研究会講演録 平成17年9月13日 60
    3 ICCF12国際会議アブストラクト 平成17年11月27日〜12月2日 100
    4 第12回ミノル記念講演会講演録 平成17年12月16日 200
    5 第34回技術研究会講演録 平成18年2月17日 60
    6 財団会報誌第14号 平成18年3月31日 400

    W 参考資料

      賛助会員名簿

    アイシン精機株式会社
    アイシン高丘株式会社
    アイシン化工株式会社
    アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
    アイシン・リビングプランナー
    アイシン軽金属株式会社
    アイシン開発株式会社
    アイシン機工株式会社
    アイシン・エーアイ株式会社
    アイシン辰栄株式会社
    アイシン・エィ・ダブリュ工業株式会社
    豊生ブレーキ工業株式会社
    株式会社テクノバ
    新三商事株式会社
    寿技研工業株式会社
    アイシン・エンジニアリング株式会社
    アイシン九州株式会社
    株式会社 アイシン コラボ
    光南工業株式会社
    以上19社